映画をめぐる美術

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「映画をめぐる美術」展を見て来た。

映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
2014年4月22日(火)~6月1日(日)

展覧会は、映画を言語の拡張として捉えていたマルセル・ブロータースの考え方を基軸として構成されている。会場の構成もこの展覧会の構成を反映していて面白い。マルセル・ブロータースの考え方が中心の部屋に据えられ、それぞれのコンセプトごとにそこから繋がる別の部屋に入っていくように設定されている。「シネコンのような」という説明が与えられていた。

第一の部屋は”Still”。シンディ・シャーマンは扮装で映画の主人公になりきる。当然森村泰昌を想起させる。

アナ・トーフ《偽った嘘について》は写真と文字の自動スライドショー。スライドショーというとコンピューターのソフトウェアと思うだろうが、アナログポジフィルムをカルーセル映写機にセットして一枚一枚機械式に切り替えている。違いは多くあるものの基本線はトヨダヒトシ (今年行われるヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家) を想起させる。トヨダヒトシは本人が手操作で切り替えるので、このような展示会でずっと見せるということはできず、毎回イベントのような形になる。トヨダヒトシが日常の風景、食べ物、人など、見たものをそのまま撮っているのに対して、アナ・トーフは一人の女性の表情、苦渋に満ちた表情を映し出していく。トヨダヒトシが個々の写真の繋がりを提示せず観客に委ねているのに対して、アナ・トーフは (動きはないものの) 言葉でストーリーが朧げながら浮かび上がる。アナ・トーフが使っているテキストはジャンヌ・ダルクに対する審問の記録という。

第2の部屋のやなぎみわも面白かった。映画部?の女子高生が「レオン」(→ Wikipedia) の二人 (レオンとマチルダ) と「グロリア」(→ Wikipedia) の二人 (グロリアとフィル) を再現するのだけど、同じ二人が演じていて、設定の似た両方の映画を交互に出すので、今どっち?と混乱する。というか考えながら見るのが楽しかった。やなぎみわもヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家。

第6の部屋アイザック・ジュリアンの《アフリカの亡霊》は、アフリカの過去の映像、映画で国おこしを図るブルキナファソの現代の風景、アフリカの大地で踊る一人のダンサーを映し出すもの。アフリカの音楽、リズムが惹きつける。

常設展も毎回違っているものが入っていて面白い。今回は Chim↑Pom が入っていて、こういうところに展示されるようになったかと不思議な気がする。川端龍子 (りゅうし) の作品が新しく入ったということで、一つの部屋がまるごとあてられていた。太平洋戦争のための戦意高揚の作品が特集されていた。

ブログ10年

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今日でブログを書き始めてから10年になる。

昨日は以前書いていた記事を見直し、リンク切れを直したり改行によるずれを直したりしてアップデートしていた。

最初に書いたのはこの記事 → にぶろぐ: 愛国者宣言 (2004-05-25)
現在ブログを引っ越して現在はこちら → うえぶろぐWordPress:  愛国者宣言 (2004-05-25)

昔は愛国主義者だったんだね。

書いている内容は、平和、環境、社会問題、技術、ビジネス、アート、言語 (日本語) が多い、って全然まとまりないな。
そう言えば最初ブログ名を「環境/ビジネス/カルチャー」にしていたんだ。その意図はブログ名を変更するときに書きました。

Twitterが出てきて以来、そちらで書くことが圧倒的に多くなり、ブログの更新頻度がめちゃくちゃ落ちている。しかし、まとまったことを書くことは、考えを整理する上で役に立つ。

今後もまだまだやめる気はないので、みなさん、見守ってください。

こども展

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5月20日、森アーツセンターギャラリーで開催されている「こども展」のブロガー特別内覧会が開かれ行ってきました。

「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」展覧会情報

会期: 2014年4月19日(土)~6月29日(日)※会期中無休
場所: 森アーツセンターギャラリー
開館時間 10時~20時 (火曜日は~17時)

詳しくは 森アーツセンターギャラリー「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」、または、特設サイトへ。

特別内覧会ということで、エキジビション・ディレクター中山三善氏のギャラリートークがありました (以降も含め写真は美術館より特別に撮影許可を得ています)。また、通常は有料の音声ガイドも無料で貸していただけます。音声ガイドのナレーターは竹内まりやで、展覧会のテーマソングになっている「人生の扉」も入っています。なお、音声ガイドは 2種類あって、もう一つのジュニア版はクイズ形式になっているそうです。

この展覧会は、以前オランジェリー美術館で行われた企画展を再構成して持ってきたもの。巨匠が子どもを描くということで、ピカソも入っていますが、基本的にはかわいい子どもの姿を写実的に描いたものです。この展覧会は難しいことを考えず、かわいいと楽しんでもらえば良いとのことでした。こんな毒にも薬にもならない展覧会は久しぶり … って、あ、ごめんなさい、かわいい子どもの絵で癒されるので薬にはなりますね。

IMG_1802その中でも私が一番気に入ったのは (おそらく、多くの人もそうかと思います) ポスターにもなっているルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」(→ Wikipaintings) とその関連作品でした。

ジュリー・マネは、ベルト・モリゾとウジェーヌ・マネ (エドワール・マネの弟) 夫婦のひとり娘。この一角はジュリー・マネの成長を絵で追います。右の2点はいずれもベルト・モリゾによるもの。右は「庭のウジェーヌ・マネとその娘」(→ Wikipaintings)、その左は「犬を抱く娘」(→ Wikipaintings) です。ルノワールの「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」にはベルト・モリゾは気に入ったらしく、自身で版画にもしています。これもいい感じでした。

ジュリー・マネは成長してやはり画家になっており、ここには彼女が描いた子どもの絵も展示してあります。

オフィスアイ・イケガミ アートブログによるレビュー「こども展―名画にみるこどもと画家の絆― 」にはもっといろいろなエピソードが載っています。その中で

マネの代表作≪すみれの花束をつけたベルト・モリゾ≫(1872年、オルセー美術館)をジュリーは生涯大事に自宅居間に飾っていたという。

Berthe Morisot with a bouquet of violets by Edouard Manet (from Wikipaintings)

というのは母娘の愛情を感じさせるいい話ですね。右の絵です (WikiPaintingから持ってきました)。

竹内まりやの音声ガイドには、作品の解説から離れて、ベルト・モリゾをとりあげたチャプターがあります。彼女を「働くお母さん」という観点で評価をしているんですね。同じ働く女性として共感したのだと思います。あわせて夫ウジェーヌ・マネの理解あってこそと評価していています。そういうことが可能な階級、仕事だったということを考えないといけないとは思うのですが、そういう意味で似たような位置づけにある竹内まりやではしかたないかなという気もします。

このコーナーばかり取り上げましたが、他にも印象的な作品がありました。エンダディアン「ネガールの肖像」は気に入って後で調べようと思ったのですが、綴りが分らず検索できません。

5月31日から同じ森ビルの最上階にある森美術館で「ゴー・ビトゥイーンズ展 こどもを通して見る世界」があります。こちらは毒もある展覧会で、ハナ・マフマルバフ監督「子供の情景」(Wikipedia) 上映など関連イベントが多くあります。この展覧会にも行きたいと思います。子どもを見る「こども展」と、子どもの目で世界を見る「ゴー・ビトゥイーンズ展」。あわせて見ることで世界が広がるのだと思います。

統計学ちゃんと勉強しなきゃ


ビッグデータとか統計学とか最近ブームなのでいろいろ見ているけど、どうもつまみ食いの範囲を越えていない。

購入した本

講演会など

「統計的思考の養い方」は、半期毎に行っている院生向け統計4日間シンポジウムに関して、その経験などの内容。教える内容は分野依存にしない一方で、対象学生が精通している分野を材料にすることでリアルに実感できるようにする。何を課題として、そのためにどんなデータを集めるところから計画を立てること、分ったことをまとめるところも重要とのこと。

逐次通訳はついていたけれど英語の講演で、統計学の用語を辞書をひきながら聞いていた。

  • R-sq = 決定係数
  • ANOVA = Analysis of Variance 分散分析
  • chisq = カイ2乗検定

SASのツールもそうだけど、こういう技法がある、こういう機能があるということは説明があるのだけれど、それで何がわかるか、あることを知りたいためにはどの技法を使えば良いか、どのようなデータが必要なのかが分っていないというのが正直なところ。以前「Excelで学ぶ統計」みたいな本は読んで、重回帰分析とかは思い出しながらできるようになったが、網羅的な知識が必要だなと感じている。まさに「統計的思考の養い方」で紹介されたような集中的コースはそのニーズにあっているのだろうなと思う。

日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』

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東京都美術館で行われている、日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』。前期後期で全作品を入れ替えるのですが、後期が始まる3月1日、閉館後にブロガー向け特別観覧会があり、参加してきました。

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表題のとおり、日本美術院の再興から100年を記念し、これまでの名作を俯瞰するものです。「再興」というのは、最初明治31年 (1898) に岡倉天心によって創立されたものの、その後資金不足で一旦休止状態にあったものを、大正3年 (1914) に岡倉天心の一周忌にあわせて活動を再開したということです。

最初に学芸員の河合晴生氏から全体の説明、最初の部屋のいくつかの作品の説明がありました。

狩野芳崖の「悲母観音」には、聖母と赤子を配置しているところにキリスト教というか西洋の影響が見られる。横山大観の「屈原」は、妬まれ左遷され自殺した屈原と東京美術学校を追われた大観に重ねたもの。同じく大観の「無我」は、幼いこどもを描くことで抽象的な概念をイメージ化している …

また、それまでの日本画が輪郭を描くものであったのに対して、色と濃度の差でものの形を表現する西洋的手法が「朦朧体」と呼ばれたなど、美術院初期、これまでの日本画から脱却しようとしている時代の美術家の挑戦が感じられます。

それぞれの作品が、ただ日本画の伝統を追っているだけではないことがわかる展示になっていました。小倉遊亀の「コーちゃんの休日」(コーちゃんは越路吹雪) にはマチスの影響があることがわかります。月岡榮貴の「やまたのおろち」はシャガールのような幻想的な感じを受けました。

色の強さにインパクトを感じるものが多くありました。小林古径「芥子」の緑、小茂田青樹「虫魚画巻」背景の銀、速水御舟「比叡山」の群青の濃淡、今村紫紅「熱国之巻」インドの光の強さを表現するための金粉 …

今回最も気に入ったのが、岩橋英遠の「道産子追憶之巻」。一面の風景の中に、秋から冬にかけて変わっていく自然を表現しているものでした。これが1978年から1982年の作品で、まだまだ変わっていく日本画のダイナミズムを感じました。

日本画というと、以前、“「日本画」なの?” でもう日本画ともいえない作品も見てきたのですが、今回のものは伝統に沿いながらも新しい「美」を目指す姿勢を感じることができました。現代美術に抵抗のある人にもオススメです。4月1日まで。

バルテュスの優雅な生活

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娘が成人式の式典に出席している間、図書館で読みました。

バルテュスの優雅な生活

バルテュスに関しては原久路の作品に関する記事であげたのですが、バルテュス自体はそれまで知らず、またそれ以降も詳しいことは知らなかったので、興味深く読みました。昔の人だと思っていたのですが、2001年に亡くなったので現代の人と言えるんですね。勝新太郎とも交流があり、一緒の写真も載っていました。その他リチャード・ギアとの写真もありました。

また、この著者にもなっている節子さんという日本人が奥さんだったのですね。節子さん自身が書かれた馴れ初めの部分が面白かったし、若くして結婚した節子さんが、教養をつけるために勉強したエピソードも興味深く読みました。

ソウル東大門デザインプラザ

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現在21_21デザインサイトで、企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」が行われており、関連イベントがいろいろ行われています。1月11日、トーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」を聴きにいってきました。

今回は実際のデザイン関係のミュージアムの関係者によるお話。

  • 東京国立近代美術館の工芸館: 工芸品だけでなくデザイン作品を所蔵している。
  • 竹中大工道具館(神戸市)
  • 東大門(トンデムン)デザインプラザ(DDP)2014年3月開館予定

「デザインミュージアム」という展覧会のコンセプトに近いということもあり、また、韓国から来ていただいたということもあるだろう。話題の中心は東大門デザインプラザにあったように思う。

鄭國鉉氏はここでは総監督という肩書きになっているが、オープン後は館長 (名称は違うかもしれない) 就任が予定されている。もともとサムスンのデザイン部門出身と言うこともあってか、単なる公式発表だけでなく、ざっくばらんに話をしていただき、面白かった。

さて、東大門デザインプラザ (DDP) ですが、ティーザー映像がありました。

このフォルムは! そう、話題のザハ・ハディッドです。

鄭國鉉氏によると、中国にもザハ・ハディッド建築があるが、雨漏りがあったりして、まともに建ったものは少ないという。韓国メディアからもさんざん叩かれているとのこと。しかし、鄭國鉉自身は、その点に関しては心配していないようだ。

外側を構成するパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作しているとのこと。建築費がかさみそう。

内部も曲線で構成され、遠近感を狂わせる。下を向いて歩いていると頭をぶつけたりするそうだ。また、ポスターには屋根に座っている女性の写真が使われているのだが、なだらかな屋根で比較的容易に登れたりする場所もあるとのこと。開館前には安全対策をするらしいが、そのため無粋な立て看板だらけになるのではなかろうか (笑)。

韓国には一度も行ったことはないのですが、ここには一度行ってみたいです。

「ザハ・ハディッドを見に行こう!」

16th DOMANI・明日展

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国立新美術館で行われている16th DOMANI・明日展 に行って来ました。毎年行われているのですが、以前は2010年に行ったので4年ぶりになります。

今回の特徴は、建築を大きく取り上げたことだろう。建築家43名それぞれに区分されたスペースを与えられている。それぞれじっくりみていると、時間がいくらあっても足りない感じ。

建築家のことはほとんど知らないのだけれど、現在NTTインターコミュニケーションセンターで行われている都市ソラリス展の事前シンポジウムで出ていた松川昌平のARKHITEKTOMEがあった。建築において可能なパターン (コンピュータ上のモデル) を作っては、与えられたコンテキストで評価し、淘汰していくことを繰り返すもの。昨年11月東京ミッドタウンで行われた、慶應SFCのORFでも出ていたらしい。

アート作品に関しては自分としてはあまり収穫はなかったが、その中にあって榊原澄人の作品は惹かれた。

É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より

É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より

大きなスクリーンに、一部が繋がった4つのシーンが少しずつずれながら連続して投影されている。個々のシーンの中では部分部分でそれぞれイベントが発生していて、そのイベントを追っていると他のイベントを見るのが疎かになってしまいまうので、今度は別のところを中心にみることになる。画面の移動はゆっくりではあるが、それでも終端にくると見えなくなるので、そのあいだにみないといけない。一周は15分くらいだと思うが、この作品は全部じっくり見てしまった。

大野由美子の床面にジグソーパズルのピースを並べた作品も面白かった。靴を脱げばその上に乗れるようになっているのだけれど、ピースが靴下にひっかかって元と違ったものになるのではないとひやひやした。

川上りえの作品も、針金で制作したキューブの組み合わせを天井から吊るしたものの下を通っていく感じで、不思議な感覚。

アージェント・トーク022

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1月7日、森美術館で行われた

アージェント・トーク022:「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置

を聞いてきました。

「具体」に関しては一昨年国立新美術館で展覧会が開かれたので行って来ました(→「具体」展)、昨年はニューヨークのグッゲンハイム美術館で開かれていました。そのキュレーターの一人ミン・ティアンポさんのトークです。

日本の美術をどう世界の中で位置づけるか。それは今も日本の美術界のテーマであるのでしょうが、現在は村上隆以外は海外に打って出るような動きはあまりみられないと感じています。もちろん個人個人では意識している人も多いのでしょうが (ヴェネチア・ビエンナーレで日本館として賞をとった田中功起もその一人でしょう)、全体の力になっておらず、日本の中で分ってもらえればいいというようなスタンスに見えます。

このトークの中で面白かったのは、「具体」が雑誌というかカタログを作成して世界の美術家に送付していたということ。今はインターネットが使えますが、当時そういうものはない中で、世界に発信していたというところです。数こそ多くは配れませんが、物理的に存在するものは強いですね。

美術というと、美しいか美しくないか、されに現代でいえば、好きか嫌いかの差しかないように難じていましたが、全世界の中で相対化し美術の歴史の文脈の中に位置づけることが重要なんですね。国際公用語としての英語はそのためには重要ということで、会場とのQ&Aの回答中に言われていました。

2014年 あけましておめでとうございます


あけましておめでとうございます。

2014-nenga

今年は横浜トリエンナーレの年です。サポーターとして昨年から本格的に動きだしてきましたが、今年はもっと忙しくなるでしょう。仕事と違った交流を大事にしていきたいと思います。

また昨年はTwitterの断片的な投稿ばかりでブログはほとんど投稿しませんでしたが、ブログで書いておくべきことは本来たくさんありました。展覧会や講演会等、感想程度でも書き残しておきたいと思います。

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